ご利用事例
2018年11月20日
年末に向けて、少しずつ慌ただしさが増す中、2018年のラストを飾る「第八回エルガーラ落語会」~3人会~が開催されました。こちらはエルガーラホール8階大ホールにて、福岡に所縁のある落語家である桂歌春さん、橘家圓太郎さん、立川生志さんが中心となって開催される落語会。今回は真打ちお三方がそろい踏みという贅沢な会だけに、お客様も笑う準備をして待ち構えているご様子です。
平日の夕方であることや、寒さは落語ファンには全く関係ないことなのでは?と思うほど、あっという間に605席もある座席がどんどんと埋まっていきます。
まずはお三方のトークからスタート。ソフトバンクホークス優勝のお話から、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手、ドラフト会議や「甲斐キャノン」など野球ネタでしばし盛り上がり、福岡県民の心をわし掴みに。
トークの後は前座の三遊亭じゃんけんさんによる「松竹梅」、そして橘家圓太郎さんのご登場です!
茶系の大きな縦縞ぼかしというモダンなお着物がばっちり決まった橘家圓太郎さんの演目は『蛙茶番』。まだまだ娯楽の少なかった江戸時代に、町内のみんなで素人芝居をやるという噺なのですが、これがまた面白い。舌足らずな小僧さん、べらんめえ口調の職人さん、張り切ってとんでもないことをしでかす様子が目に浮かび、場内は大爆笑。
圓太郎さんが黙って座布団に座って客席を見ている間にも、まるでお噺の内容が目の前で展開されているようで、客席のあちこちから、我慢できずに漏れ出す「ふふふ…ふひふひ…」と息も絶え絶えの笑い声が会場を包み、こちらもニヤニヤが止まりません。
スラリとした細身に柔らかな薄色のお着物をさらりとまとった桂歌春さんの演目は『鮑のし』。呑気でおめでたい男の甚兵衛が、仕事もせずに腹が減ったと女房に泣きつくと、「おあしがなくちゃおまんまは食べられないよ」と言われ、女房の言うままにあっちで金を借り、こっちへお使いをし、意味も分からずに口上を何とか覚えて頑張ってはみるものの…。しどろもどろの人のいい甚兵衛と、仕草も声色も色気のあるしっかりものの女房そのものを演じ分ける歌春師匠の噺に、思わず聞き入ってしまいました。
そして、今回のトリは江戸時代に流行した納戸色と言われる深緑の羽織がお似合いの立川生志さん。さすがはTVワイドショーのコメンテーターとしてもご活躍の生志師匠、SNSの炎上体験や大臣の失言、パイロットの飲酒チェックまで、その歯に衣着せぬ物言いに皆さん大喜びです。さらに、今回のお題はリクエスト方式!生志さんからの「笑える話と人情もの、どっちがいい?」の問いかけに、「笑える話!」「人情もの!」と客席からどんどん声が飛びます。
「しまった、余計選べなくなっちゃった」と笑いながら選んだのは、年末も近いということで『芝浜』。腕はいいもののお酒が大好きな魚屋の勝が、年末に大金を拾って有頂天。長屋の仲間と大宴会をして、目覚めてみると…。何度も聞いたことがあり、展開は分かっているのに最後はやはりほろりと泣けてしまう、これぞ名人芸。じんわりと心の温かくなるひとときでした。
そして、平成の最後を飾る「第九回エルガーラ福岡落語会」「談志魂を受け継ぐ者たち」は、来年2019年4月11日(木)エルガーラホール8階大ホールにて開催されます。レギュラーメンバーである立川生志さんと、立川一門の立川志の春さん、立川志の八さんが、身の内に宿る「談志魂」を見せつけるという、聞いただけでも血が騒ぐ何とも楽しみな落語会です。ちょっと毒を効かせたひと笑いであれやこれやを吹き飛ばし、皆さまご一緒に、新しい年号をスカッと気分よく迎えましょう!